GOLD BOY〜不良彼氏〜
お父さんたちが九州に行く日、私は朝お父さんたちを空港で見送った。
まだ中学を卒業したばかりで春休みだったその日は、近くに住んでるおばあちゃんに空港まで送ってもらった。
実際お父さんたちが九州に転勤するって実感が全然なくて、
空港でお父さんたちが飛行機に乗りに行ったとき、涙が出てこなかった。
それは、きっとまだお父さんやお母さんに罪悪感を抱いていたからだったのだろう。
お母さんに九州に転勤することを言われたのは、志望校の前期選抜で合格した日だった。
せっかく志望校に合格したのに、今さら九州に転勤して知らない人たちの中で暮らしていく勇気がなかった。
だから、1人でも残ると決めた私はお母さんに断られる覚悟で『あたし残る』と言った。
そしたらお母さんは『分かった。お金は毎月渡すから。あと、困ったら必ず電話してきなね』と言った。
あまりにもあっさりしてたから
“あぁ、やっぱり私なんかいなくてもいいんだ”
そう、思った。
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