GOLD BOY〜不良彼氏〜
見送る日、涙目になるおばあちゃんとおじいちゃんの横で、私は悲しくもならなかった。
罪悪感だけが心の中であった。
“お母さんごめんね”って。
“産まれてきてごめんね”って。
もしかしたらお父さんとお母さんは、自分と離れられて嬉しく思ってるのかもしれないって考えたりもした。
涙目にもならない私の横で『困ったことがあったら連絡しなさいよ』と心配するおばあちゃん。
『克哉くん、まゆと玲香を頼む』とお父さんに頭を下げるおじいちゃん。
『美鈴、じゃあね』
『うん』
最後なのに『うん』しか言わない、娘の私。
お父さんたちを見送ったあと、おばあちゃんは私に言った。
『ほんとに一緒に行かなくてよかったの?』
行きたかったけど。
行けなかった。
志望校に行きたかった。
友達もいた。
だけど、お母さんとお父さんは私がいない方が幸せになれるから……。
そう思ったけど言わなかった。
その日の夜、初めての1人だけの夜。
私は声を押し殺して泣いたのを覚えてる。
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