GOLD BOY〜不良彼氏〜
私の職が決まったのは卒業式の1週間前で、先生たちは私以上に焦ってて、申し訳なかった。
だからまともに卒業式の練習もできなくて、ぶっつけ本番に近かった卒業式は、何とか無事に終わった。
2月から何度か学年で練習していた歌を卒業式で歌った時は、泣いていてほとんど歌えなかった。
あまり卒業という実感がわかなかったのに、卒業式の日に限って“卒業したくない”って1日中思ってた。
卒業式が終わり教室に戻って、初めて担任の先生が泣いてるのに気がついた。
「お前らに出会えてよかった。この学年は大変なことばっかだったけど、俺は楽しかった。だからお前らもこの先を楽しめ。立派な大人になって楽しめ」
クラスのみんなが泣いた。
今まで泣いたところを見たことがなかった人が、泣いてた。
それを見て、“あぁ、もう卒業しちゃうんだ”って実感させられた。
そこで私たちは学級委員の『先生聴いて下さい』という合図で、立ち上がった。
担任の先生には内緒にしてたけど、私たちは放課後黙って残って、歌の練習をしていた。
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