GOLD BOY〜不良彼氏〜



春休みは中学の時より長かったのにも関わらず、あっという間に過ぎてしまった。



その理由は葵の部屋を片付けたり、私の家に葵の荷物を運んだり、お揃いの食器を買いに出掛けたりしてたから。



あっという間に過ぎた春休みが開けて同棲して5日が経った日、その日は葵の初出勤の日だった。



「いってらっしゃい」



葵にこの言葉を言える日が来るなんて思ってもみなかった。



「あぁ。つかお前もバイトだろ」


「い、いいじゃん!ずっと言いたかったんだもん!」


「俺も言われたかった」



相変わらず、余裕で胸キュンしちゃうようなことを言っちゃう葵。


そして相変わらず、いまだに葵の言葉に胸キュンしちゃう私。



「ねぇ、葵」

「ん?」

「今あたしね、産まれてきてよかったって心の底から思ってる」



葵は………優しく私に唇を重ねた。



産まれてきてよかった。

出会えてよかった。

葵に、家族に、友達に、先生に、支えてくれたみんなに。



心の底から、そう思う。



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