GOLD BOY〜不良彼氏〜
だから言ってあげた親切を、こんな時までかっこつける葵はサドルから退こうとはせず、
ついには私の体を持ち上げて後ろに無理矢理乗せた。
「…ちょ!あたし漕ぐって!」
「は?大したことねぇっつってんだろ」
「で、でも…!」
「お前は黙って乗ってりゃいいんだよ」
葵はクスッと笑うと、後ろに私を乗せたまま自転車を漕ぎ、猛スピードで走り出した。
何でこんなにスピードだしてんだろうとか思ったりしたけど、
怪我人に漕がせてるから文句は言えるわけもなく我慢していた。
でも、たまに前から飛んでくる小さい虫がウザかった。
まあ、そんなこんなでがっしり葵の腰に振り落とされないように掴まってると
私はあることに気付いた。
「ねぇ、もしかしてさぁ…」
「何?」
「向かってるとこって、学校じゃなかったりする?」
「は?今更何言ってんの?今日は最初からサボるつもりだったし」
――…えええ!!?
聞いてないし!
サボるとか初耳!
てか、今更じゃないだろ!
そんなことを考えてた私の顔は七変化のように色んな顔に変わってて面白かったらしく
葵は自転車を漕ぎながら、前で一人で大爆笑していた。
.