GOLD BOY〜不良彼氏〜



「健吾の弟の話してんのは分かる?」



葵は人差し指と中指の間に煙草を挟んで灰を灰皿に落とした。



「あー…うん」


「もしかして、健吾の弟が未成年だって思ってる?」


「え?」



この時私は、誰にも見せれないくらいマヌケな顔をしてた。



私のマヌケな顔を見た葵は煙草を銜(くわ)えて、当たり前のように



未成年じゃないの?

そんな私の言葉を葵の衝撃的な言葉によって消した。



「まさか、健吾が俺とタメとか思ってたりしねぇよな」



その、まさかだよ。



中学時代によく連んでた仲間なんて聞いたら同い年以外に何て想像すんのよ。



いきなり先輩なんて想像するか?
いきなり後輩なんて想像するか?



しないだろ、"普通"。



しかし、葵のような不良だった男は一般人のような普通の考え方をするわけがない。


ありえない想像をすることくらい付き合う前から分かってたこと。



なのに、なのに。



「健吾がタメなんて一言も言ってねぇよ。健吾は4つ年上で、弟は双子の弟のこと」



真実を聞いた今



こんなに脱力感を感じるのは気のせいなんだろうか。



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