GOLD BOY〜不良彼氏〜
門の前に車が止まってることで、帰る生徒たちが車と健吾のことをチラチラと見てくる。
さすがに高校の門の前に車が止まってること自体おかしいんだから
先生に車が来てることがバレたらまた明日反省文を書かされることになる。
そんなのは、もうごめんだ。
私はチラチラ見てくる人たちから隠れるように、健吾に断りもなく車の助席に乗り込んだ。
その後すぐに葵も車に乗り込んできて、助席に座る私を不機嫌そうに
「お前どこ乗ってんだよ」
低く呟いた。
その問いに馬鹿でマヌケな私は素直すぎる返事をしてしまった。
「助席だけど?」
「後ろ座れよ」
「何でよ…?」
「今から女が座る。美鈴が一番苦手なタイプの女が、これからその助席に座る」
え?え?え?
葵は車から降りて、助席のドアを開けると私の腕を引っ張って無理矢理私を車から降ろした。
そして、そのまま私を後部座席に押し込んで葵も横に座ると、健吾の車は急に走り出した。
「お、女って何?」
「あー…、健吾の女」
隣で窓を開けて煙草をスパスパと吸う葵は、自分から切り出した話題のくせに
めんどくさそうに、そう答えた。
だいたい何で健吾の車に乗らなきゃならないのかも分かんないのに
健吾の女が一緒に車に乗らなきゃならない理由も分かるわけがない。
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