GOLD BOY〜不良彼氏〜



"あら、この子誰?"的な感じの視線に、本当に私の心臓は止まるんじゃないかと思った。



女の人に見つめられて、ここまでドキドキしたのは初めてだし

女の人にこんなに長い間見つめられるのも初めて。



「可愛い〜っ♪」



それで可愛いなんて叫ばれたのも今日この今が初めて。



………可愛い?

ねぇ、可愛いって言った?

………誰が?

ねぇ、私が可愛いって言った?



信じられないお言葉に、綺麗な女の人からの熱い視線に耐えきれなくなった私は

頭が本当に可笑しくなるんじゃないかなって思った。



こんなに舞い上がってもいいのかなとか。

この時だけは浮かれてもいいのかなとか。



「葵ってば、こんな可愛い子彼女にしちゃって生意気なんだから」


「ははっ、でも碧さんには負けますよ」



葵が爽やかに笑った。



んだと?

確かに負けるけど!
碧さんより可愛くないけど!
むしろ比べられないけど!



そこには触れなくてもいいんじゃないかと思うんだよ私は。


比べるなんて100万年早いけどあえて触れなければいんじゃないかと思うんだよ。



だから、踏んどいた。

ムカついたから踏んどいた。

触れたから踏んどいた。



碧さんにも健吾さんにも見えないように葵の足を踏んどいた。



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