GOLD BOY〜不良彼氏〜
女の人の声が………男みたいに低いのは気のせいだろうか。
葵不足で頭がおかしくなって、幻聴でも聞いてるんだろうか。
ついに私はヤバいんだろうか。
美人な女の人たちが、ニューハーフに見えてしまうのは私だけなんだろうか。
でも、裕吾さんの言葉で確信が付いた。
「外見は女だけど、声合わせたらニューハーフまんまだな」
私が変なわけじゃないんだと自分自身を慰めて、入り口まで足を進めみた。
―…が、それ以上進まなかった。
その時、入りづらい店内の入り口でポツンと立ってる私に最初に気付いてくれた人がいた。
それは、携帯を耳に当てながら息を乱して走ってくる葵。
「お前っ、今度は何だよ?急に電話出なくなんの止めろよっ」
あんだけ葵に酷いことを言った私のことを、まだ心配してくれる葵の優しい声に泣きそうになった。
女の人だと勘違いして、被害妄想抱いて、不安になって、許すとか許さないとか決めて。
一人で勝手に考えて馬鹿みたいだった。
でも―…
「……だって、女の声聞こえたりするから。奥の方で女の人の声聞こえたりするからっ」
女の声だけで不安になったのは正直な気持ち。
葵がバイトしてんのをつべこべ言ったのはワガママ。
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