GOLD BOY〜不良彼氏〜
「だから急いでここまで来たんじゃんっ。不安だからここまで、早足で来たんだよっ」
「何で言わねぇんだよ」
「……え?」
「女の声聞こえたんなら、その時はっきり今の誰って言えばいいだけだろうが」
「…でも、そういうの重いし…」
「付き合ってて重い軽いなんてあんのかよ。聞きたい事聞けないで付き合ってる意味あんのかよ」
………っ!!!
葵に腕を引っ張られて、海の家の裏まで連れ込まれた。
壁に体を無理矢理押し付けられて、せっかくセットした髪がくしゃっと崩れた。
冷たい視線の葵。
目が合わせられなくて、つい逸らしてしまった。
「逸らすな、ちゃんと見ろよ」
葵の手によって、私は近距離の葵と向き合う形になってしまった。
身動き出来ないように押さえつけられてる両腕が、葵に触れられていて熱く感じる。
キス出来るくらい近い葵と私。
葵の息が耳にかかる。
それだけでドキドキする。
「明日までだから」
葵は、そう呟き
押さえつけられていた両腕が離して、葵の指を私の指に絡まして恋人つなぎにした。
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