GOLD BOY〜不良彼氏〜



あたしが葵を信じてないと冷たく言うけど、それはどこか楽しそうで笑いながら言っていた。



ふざけてる葵は、そのままキスしようと顔をじわりじわりと近付けてきた。



その唇を私は手で押さえた。



「手、邪魔」



葵は不機嫌に低い声を出す。



それでも、まだ近付いてくる葵の唇を押さえることは止めない。



さっきから気付いてたけど、向こうの方から私たちをジーッと見てる二人組がいる。


ここでキスなんかしたら、絶対あの二人組に見られる。


そんなのはゴメンだ。



「そんなに嫌かよ、俺とキスすんの」

「見てんの」

「は?」

「向こうで誰かが私たちのこと、さっきからずっと見てんの」



目線で向こうの二人組を教えると、葵は唇にあった私の手を離し掴んで、二人組の方へと進んでいった。



えっ!え!え!え!



いくら元不良で度胸がある葵だからって、見ず知らずの人たちに向かって喧嘩売ったら…!!



ぼこられちゃうよ!



私は一人で冷や汗を垂らしながらズカズカと歩く葵の後を付いていった。



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