GOLD BOY〜不良彼氏〜
バッシャーンという音とともに、葵の姿が水の中に消えた。
私も洋服は水浸しになっちゃったからと諦めて、水からプハっと顔を出す葵の上に乗っかり再び沈めようとした。
「てめっ!何っ…すんだよ!」
苦しそうに溺れてる葵が、逆に私の中の悪魔な心を大きくさせる。
葵は運動神経はいいくせして、水は大嫌いで、いつもプールとかだと泳げないという金槌体質。
その代わり私は、小学校の時に市大会で優勝したことがあるくらい泳ぎは得意中の得意。
ある程度葵を溺れさせてから上から退いてやり、ビショビショになった姿をお互い見合った。
自分の水浸しになった姿と葵の水浸しになった姿を見て、私は溜め息しか出てこなかった。
「もう、ありえない」
「は?ありえないのはお前の方だって。俺を殺す気か」
「あれは、お返し」
胸から下までビショビショにしてくれたお返しなんだから、私はありえないはずがない。
いきなり水をかけてくる葵の方がありえない。
水浸しでビショビショになった洋服が肌にピタッとくっついてるから気持ち悪く感じる。
肌と洋服の間に風を入れようと洋服をパタパタと動かしてたら、砂浜に座る葵の視線が鋭くなった。
「…何?」
ベタベタして気持ち悪いからパタパタするのに、こっちは必死なのに、
済ました顔でこっちを見る葵は私から視線を逸らさない。
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