野球少女だって青春したい
男どもがいなくなったあと、私は腰を抜かして座り込んでいる女の子に、手を差し出した。

「大丈夫だった?立てる?」

できれば笑顔で言いたいのだが、それが出来ない自分に腹が立つ。彼女は私の手を握り、ゆっくり立ち上がった。そして丁寧に頭を下げ、

「助けて下さり、ありがとうございました。」

と言った。彼女が一年生の学年章をつけていることを確認し、とっくになり終わったチャイムなど気にせず、教室まで送ることにした。授業もサボりたいし。

「先輩、いいんですか?もうチャイム鳴り終わってますよ?」

心配そうに彼女は聞く。私は、

「大丈夫。保健室に行くから。授業もサボりたいし。」

と答えた。気持ち的には笑っていたいけど、無表情になっているんだろうな…。
私達は階段を下り始めた。
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