私立桜恋学園~貴方は何科?~
3人が出ていってから少しすると、桜井先生が入ってきた。
そして、何故か隣に佐久間くんもいる。

「彼も、話を聞きたいって言ってきたの。構わないかしら?」

「何かごめん・・・邪魔する感じになって。
でも、俺も市川さんと考えてる事似ててさ。」

佐久間くんは少しバツが悪そうな顔をしている。

私は慌てて首を振る。

「い、いえ。全然大丈夫です。佐久間くん、別に気にしなくていいから。」

私がそう言うと、佐久間くんはホッとした顔になった。
桜井先生は二つの机をくっつけ、椅子を二つ並べた。

私と佐久間くんはその椅子に座り、桜井先生は私達と机を挟んで向かい合うように座った。
桜井先生は、席に着くと早速口を開く。

「・・・二人は、大学に進学したいのよね?」

私達は頷く。

「何か、将来の夢があるの?」
そう言って、桜井先生は私を見た。
私から答えろという事なのだろう。

「私は、医者になりたいんです。小学生の時から医者に憧れていました。」

先生は今度は佐久間くんを見る。

佐久間くんが口を開く。

「俺は、エンジニアになりたいと思っています。」

(へえ・・・佐久間くんってエンジニアになりたいんだ・・・医者とは違うけど、同じ理系だな・・・)
ふと、そんな事を考えた。


「なるほどね、どちらも大学に進学しないとなれない職業ね。」

桜井先生は頷く。

(そう、大学に進学しないと話にならない。だからこそ・・・恋愛なんてしてる場合じゃない。)

「桜恋学園は確かに他の学校とは少し違うけど、進学校っていうのに変わりはないわ。実際、大学に進学した先輩達もたくさんいるし・・・二人とも、桜恋学園のパンフレット見てくれたかしら?自分の学校の事言うのも変だけど、進学実績結構高かったでしょ?」

確かに、と思う。
私はその進学実績を見て、桜恋学園に決めたのだ。
進学実績が高いのは、多くの人が大学に進学している事を示している。


「・・・進学校っていうのは分かってます。進学実績がいいって言うのを。でも、恋愛って進学に関係あるんですか?こんな事言ったら失礼かもしれませんが・・・俺は、恋愛って要らないと思います。まだ、自分が恋愛を経験した事ないからはっきりとは言えないけど・・・」

佐久間くんの言葉は私が考えている事と、全く同じだった。

恋愛を経験した事がない、って言う点も。
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