私立桜恋学園~貴方は何科?~


「俺、恋愛とか全然分からないけど・・・それでもこの学校でやっていけますか?大学にも行けますか?」


桜井先生はにっこりと微笑み、頷く。


「もちろんよ。それに恋愛未経験者なんて沢山いるわよ。大学進学も大丈夫。ちゃんと大学志望の子専用のクラスをつくって、授業するから。」


(パンフレットには恋愛の事は書いてなかった・・・でも、それ以外はパンフレットに書いてある通りだ。)

さすがにパンフレットに嘘は書けないだろう。
実際、倍率もレベルも高かった。
人気があるという事だ。

(桜井先生もこう言ってるし・・・入学したからにはここでやってくしかないよね。)


「先生、私、この学校で頑張ります。佐久間くんと同じで恋愛は分からないけど・・・
わざわざ話をする時間をつくってくれて、ありがとうございました。」

「俺も少し安心しました。ありがとうございました。」

私と佐久間くんがお礼を言うと、先生は「いいのよ、毎年こういう事あるんだから」と言って笑った。


「じゃあ、今日配ったプリントとパンフレットはよく読んでおいてね。分からない事あったらいつでも聞いてね。」


「「はい。」」

私達は返事をして、帰りの支度を始める。

(あ、お母さんに友達と帰るってメールしとこ・・・)

そんな事を考えながら、私は先生に頭を下げ、佐久間くんとともに教室を出た。

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