私立桜恋学園~貴方は何科?~


「そうそう。学校から帰ってる途中にケーキ買ってきたの。このお店のケーキ好きでしょ?」

お母さんは冷蔵庫から、ケーキの箱を出した。思わず私の顔がほころぶ。
私の大好きなお店のケーキだからだ。

「入学祝いに、ね。お茶入れるから一緒に食べましょ。」

「うん!ありがとう、お母さん」

私は笑顔で返しながら、席につく。

(桜恋学園については、まだ何も言ってこない・・・私から、聞いた方がいいのかな?)



「やっぱりここのケーキは美味しいわねー」

お母さんはお茶を飲みながら言う。

私の一番好きなチョコレートケーキ。
最近食べていなかったから、余計に美味しく感じた。
ケーキを楽しみながらも、どうしてもお母さんの考えが気になっていた。


(聞き辛いけど・・・聞くしか、ない・・・)

私はそう決心した。
フォークをテーブルにおいて、お母さんを見る。


「ねえ、お母さん。」

「どうしたの?」

「今日の入学式で色々説明されたでしょ?
恋愛科、について・・・お母さんがどう思ってるか気になって。」


お母さんもフォークをテーブルに置いた。

沈黙が流れる。

しかし、その沈黙は長くは続かなかった。

「私は、いいと思うわよ。ちょっと驚いたけど・・・なかなか楽しそうじゃない。」
< 20 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop