私立桜恋学園~貴方は何科?~
「そうそう。学校から帰ってる途中にケーキ買ってきたの。このお店のケーキ好きでしょ?」
お母さんは冷蔵庫から、ケーキの箱を出した。思わず私の顔がほころぶ。
私の大好きなお店のケーキだからだ。
「入学祝いに、ね。お茶入れるから一緒に食べましょ。」
「うん!ありがとう、お母さん」
私は笑顔で返しながら、席につく。
(桜恋学園については、まだ何も言ってこない・・・私から、聞いた方がいいのかな?)
「やっぱりここのケーキは美味しいわねー」
お母さんはお茶を飲みながら言う。
私の一番好きなチョコレートケーキ。
最近食べていなかったから、余計に美味しく感じた。
ケーキを楽しみながらも、どうしてもお母さんの考えが気になっていた。
(聞き辛いけど・・・聞くしか、ない・・・)
私はそう決心した。
フォークをテーブルにおいて、お母さんを見る。
「ねえ、お母さん。」
「どうしたの?」
「今日の入学式で色々説明されたでしょ?
恋愛科、について・・・お母さんがどう思ってるか気になって。」
お母さんもフォークをテーブルに置いた。
沈黙が流れる。
しかし、その沈黙は長くは続かなかった。
「私は、いいと思うわよ。ちょっと驚いたけど・・・なかなか楽しそうじゃない。」