私立桜恋学園～貴方は何科？～

恋愛科選択というものがあるが、どれもピンとこなかった。

(あの子は、何選ぶんだろ･･･)

あの子とは市川優梨の事だ。
恋愛科なんてどれでも良かったので、彼女と同じものを選ぼうと思っていた。

しかし、入学式の帰りに気になる話を聞いた。

「何か、今年から新しい恋愛科が追加されるらしいぜ。」

一緒に帰っていた友達が言った。

「はあ？そんなの今日貰った冊子に書いてなかったじゃん。」

「急に追加されたから、冊子に書く時間なかったらしいよ。」

「ふーん･･･で、その新しい恋愛科ってどんなやつなの？」

「よく分からんけど･･･何か、恋愛経験豊富な人が集まる科みたいだぜ。」

「何だそれ。じゃあ、そこに入る奴って相当恋愛に自信がある奴なんだろうな。」

「だな。まあ、過去に色んな人と付き合った事ある人とかが入るんじゃない？噂によれば、純愛科の生徒の為に作られたみたいだけど。」

「純愛科？純愛科って恋愛初心者の奴らが集まるとこだろ？純愛科の為ってどういう事だよ？」

「純愛科で恋愛をそこそこ覚えた人達が、実習？みたいな感じで恋愛をしてみるらしいよ。もちろん同じ純愛科でもいいけど、相手が経験豊富な方がいいっていう人もいるみたいだし･･･」

「･･･本当に、変な学校だな。ってか、お前は何でそんなに詳しいんだよ？」

「気になったから、先生に聞いたんだ。俺、その科を選ぶつもりだし。だって、いかにも恋愛慣れしてない！って子大好きだし。かと言って、純愛科に入っても面白くないし。」

「へえー･･･」

軽く返事をしながら、俺は考えていた。


(どうせ、あいつは純愛科選びそうだよな･･･あいつと同じにしようとか考えてたけど、よく考えたら俺も純愛科なんてガラじゃない･･･)