私立桜恋学園~貴方は何科?~

(純愛科は、やめよう。絶対に俺には合わない。)

純愛、なんて聞くだけでも気持ち悪くなるぐらいなのに。

そもそも純愛というものが本当に存在しているのかも分からない。

自分が経験した事ないからかもしれないが。

(新しい恋愛科、ってやつにしてみようか・・・
あの子と科は離れるかもしれないけど、同じ学年だし会おうと思えば会えるよな。会ったらまたからかってやりたいな。あの子の反応面白いし。)

今まで自分と関わった事のないタイプの女子だからか、妙に市川優梨に対して興味がわいていた。

今まで自分が出会ってきた女子は、媚びる事は上手だった。
いつも笑顔。笑顔を振り撒いている。
からかっても、「も~何言ってんの~」などとさらにぶりっ子するだけだった。

それに対して彼女は、ぶりっ子とは程遠く、顔を赤くしながら睨みつけてきたのだ。

初めての反応だった。

(あの睨みつけている顔を、媚びた顔に変えてみたい・・・)

そんな事を思ってしまった。

大変そうなのは分かっていた。

(だからこそ、やりがいがあるって事だよね。)

俺は明日、先生に詳しく新しい恋愛科について聞く事にした。

(純愛科の奴らより、上の立場にいれるんだもんな。何しろ、純愛科に行く奴らは恋愛に関しては素人なんだから。)

市川優梨が純愛科に行けば、自分は彼女より上に立てる。

それが少し楽しみだった。

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