私立桜恋学園~貴方は何科?~


「ねーねー、優梨は何の恋愛科に入んの?」

「純愛科、だけど・・・あんたには関係ないでしょ。」

私は東城零を睨みつける。

こういう軽い雰囲気の人は嫌いだ。

しかし、そんな私を気にかける様子もなく、彼は口を開く。

「おっ、やっぱり純愛科入るんだ。優梨なら純愛科選ぶんだろうなーって、予想してたんだ。」

「・・・あっそ。」

話したくないので、私は彼に背を向けた。
そして、そのまま歩きだそうとする。


「ちょっと待ってよ、優梨」

彼は私の腕を掴んだ。

「・・・っ、離してよ。」

私は彼の手を振り払う。
けれど、すぐに掴まれて彼の方に向かされる。


「・・・・・・・・・・・・」

私が何も言えなくなったのは、彼が真剣な表情をしていたからだ。
さっきまでの軽い感じは、消えていた。


「・・・俺、プロ恋愛科に入る事にした。」

「プロ恋愛科、に・・・?」

「今までで、10人以上とは付き合った事あるし。」

「なっ・・・」

恐ろしい数字に私は絶句する。
どうしたらそんな数になるのか、私には分からなかった。

「・・・まあ、そういうわけだから。優梨、覚悟しててね。」

彼はそう言うと、掴んでいた私の腕を離した。

「えっ・・・覚悟って・・・」

私が尋ねる前に、彼は踵を返し、同じクラスの男子生徒の元に行ってしまった。

(覚悟しててね、ってどういう事・・・?)
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