私立桜恋学園~貴方は何科?~
「・・・え、あ、ごめん・・・ぼーっとしてた。」
(何で、あいつの事なんて考えてんのよ・・・私は。恥ずかしい・・・)
「ううん、大丈夫だよ。それより、市川さん。昨日、東城零と話してなかった?」
「え・・・?あ、まあ、話した、けど・・・」
まさか佐久間くんの口からあいつの名前が出るとは思わなかった。
私とあいつが話しているのを、佐久間くんは見ていたみたいだ。
「・・・東城くんと、知り合いなの?」
「いや、そういうわけじゃないけど・・・ちょっとあの人に関する悪い話聞いたから、気になって・・・」
「悪い話って?」
私が尋ねると、佐久間くんは少しだけ言いにくそうな表情をした。
そして、声のボリュームを小さくしてこう言った。
「あの人、色んな女子と付き合って、貢がせるだけ貢がせといて飽きたら捨てるっていうの繰り返してたらしいんだ。」
「貢がせ・・・っ!?」
思わず大きい声が出た。
佐久間くんが慌てた様子で、人差し指を口に当てる。
(あいつ、そんな事してたの!?本当に最低な奴だったんだ!)
「噂だから、本当か分からないけど・・・その、市川さんも気をつけろよ。」
「う、うん・・・」