私立桜恋学園~貴方は何科?~


自己紹介が終わったところでHRの時間が終わった。

自己紹介でいつものHRより長く時間を使ったので、次の授業までの休み時間が少し長くなっている。

黒板に今日の時間割が提示されていた。

(1時間目からいきなり恋愛の授業なんだ・・・)

一体どんな授業になるのだろうか。
今までそんな授業受けた事ないので、全く想像がつかない。
おそらく、このクラスの生徒は皆同じだろう。
クラスだけではない。新入生全員が初めてのはずだ。
改めて、自分が入学した学園の不思議さを感じた。


「市川さん。」

「あ、佐久間くん。」

佐久間くんが私に声をかけてきた。

(そういや、このクラスで話した事ある人佐久間くんしかいない・・・)

「市川さん、次の授業、恋愛の授業だよな・・・」

そう言う佐久間くんの表情は若干沈みがちだ。

「そうだね・・・全然想像出来ないけど、やるしかないよ。それに、このクラスって恋愛初心者の人達が集まってるんだし、先生もいきなりぶっ飛んだ授業はしないと思うな。・・・多分。」

美川先生を想像して、少し自信がなくなったので多分をつける。

佐久間くんは黙り込んだ。

「・・・佐久間くん、どうかした?」

「恋愛初心者、か・・・」

「え?」

「・・・俺って、どうなるんだろ。」

「え、それってどういうー・・・」

「ごめん、変な事言って。気にしないで。」

私の言葉を遮って、佐久間くんは自分の席に戻っていった。

(佐久間くん、どうしたの・・・?)
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