私立桜恋学園~貴方は何科?~

佐久間くんの後も、何人かの生徒が同じ質問に答えた。

しかし、どの生徒も答えはほとんど同じだった。

『分からない』『必要ない』『くだらない』

全体的に悪いイメージを持っている人が多かった。

(確かに、私だって恋愛は興味なかった。でも、くだらないっていうのはどうなんだろう・・・?)

美川先生も言ったように、感じ方は人それぞれだから自分にその意見を否定する資格なんてない。



「皆の意見はだいたい分かりました。恋愛は皆にとっては必要のないものって感じだね。うんうん、そういう意見もありだと思うよ♪確かに恋愛っていい事ばかりじゃないし、絶対にしなくちゃいけないものでもないからね。」

(恋愛を教える学校で、恋愛を否定するような事ばかり言ってる私達だから怒られると思ったけど・・・)

美川先生は生徒達の意見をちゃんと受け入れてくれた。


「でもね、恋愛の力ってすごいんですよ。好きな人が出来たら、それだけで毎日楽しくなるし、この人のために何かしたい、っていう優しい気持ちも生まれてくる。確かに、恋愛をしなくても生きていけるけど、こんな優しい気持ちになれる恋愛を皆にも知ってほしいなって思います。無理はしなくていいんです。学びたくないから学ばなくていいし、学びたいなら学ぶ。
私達は強制はしません。」

美川先生は穏やかな表情を浮かべていた。

(優しい気持ち、か・・・私にも好きな人が出来たらそういう気持ちが出てくるのかな?)

少しずつ自分の気持ちが変わっているのを感じた。

気になり始めたのだ、『恋愛』というモノが。






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