私立桜恋学園~貴方は何科?~
彼女はふと、何かに気づいた表情をする。
「あ、名前言ってなかった・・・私は藤堂莉愛(ふじどう・りあ)ね!よろしく~市川さんは・・・名前、優梨だよね?優梨って呼んでいい?」
「もちろん!よろしくね、莉愛ちゃん。」
私がそう言うと、莉愛ちゃんは嬉しそうににっこり笑った。
友達が出来て、私も嬉しかった。
純愛科に戸惑う事があっても、相談したり出来る友達がいれば心強い。
莉愛ちゃんと話していると、廊下の方が騒がしくなってきた。
「・・・ん?廊下に何かあるの?」
莉愛ちゃんが廊下に視線を向ける。
廊下には3人の男子生徒がいた。
私達がいる教室を覗きこみながら話している。
「あの人達、このクラスの生徒じゃないよね?」
私の問いに莉愛ちゃんは頷く。
「うん。どこのクラスだろ?多分、同じ1年生だろうけど・・・」
私と莉愛ちゃんがそんな会話をしていると、3人の男子生徒は話しながら教室に入ってきた。
「あ、入ってきた。」
莉愛ちゃんがそう言った瞬間に、私は男子生徒と目が合った。
何となく気まずくてすぐ目線を逸らした。
すると、男子生徒達は私と莉愛ちゃんに向かって歩いてきた。
「ねえねえ」
男子生徒の1人が声をかける。
「ん?何、どうかした?」
莉愛ちゃんが返事をした。
声をかけた男子生徒は、莉愛ちゃんに近づく。
「へえー純愛科って可愛い子多いんだね~
見に来て良かったー」
「・・・はあ、それはどうも。」
莉愛ちゃんは困惑した表情でお礼を言う。
いきなり知らない人に可愛いなんて言われたら、普通はそうなるだろう。
すると、隣にいた別の男子が私の方を見ながら口を開く。
「俺は隣の子が好きだな。クールな感じって好みだわ。」
(え・・・私?)
てっきり莉愛ちゃんだけ褒められていると思っていた私は、思いがけない言葉に面食らう。
「あー、確かに。てか、2人とも可愛いよね。名前、何て言うの?」
「藤堂莉愛、だよ。」
「市川優梨・・・」
私も莉愛ちゃんも愛想があるとはお世辞にも言えない自己紹介をした。