私立桜恋学園~貴方は何科?~
大きい声が出てしまい、私は思わず口に手をあてる。
「優梨・・・」
莉愛ちゃんはサッと男子生徒から距離を取り、私に近づく。
私はそんな莉愛ちゃんを守るように、前に立って口を開く。
「・・・莉愛ちゃんは嫌がってる。だから、やめてあげて。」
極めて冷静に言った。
さっきは少し感情的になってしまった。
自分を落ち着かせる為に、私は軽く深呼吸をした。
「いやいや、2人ともそんな拒否らなくてもいいじゃん~」
莉愛ちゃんの手を握った男子は、軽い調子で言う。
「・・・やっぱり、純愛科にいるぐらいだから、男慣れしてないんじゃね?」
隣にいた男子が言う。
「あー、なるほど。じゃあ、純愛科の女子って皆こんな感じなの?慣れてない、っていうのも可愛いけど、皆同じ反応じゃ楽しくないなー」
私はその言葉に憤りを感じた。
(私達は、貴方達を楽しませる為にいるんじゃないのに・・・)
私は彼らに言い返そうと、1歩踏み出した。
「ちょっと、今の言葉・・・」
「・・・じゃあ、もう来るな!!」
隣にいた莉愛ちゃんが叫ぶように言った。
私の言葉は遮られた。
私は驚いて、莉愛ちゃんを見る。
莉愛ちゃんは彼らを睨みつけていた。
周りが何事かとざわめきだす。
男子生徒達は突然の出来事に呆然としている。
莉愛ちゃんはさらに続ける。
「楽しくない?あんた達の勝手な理想を私達に押し付けないで!あんた達が今まで関わってきた女の子達は、喜んで来てくれたかもしれないけど、私達は違うの!それが嫌ならもう私達に関わらないで!!」
途中から涙声に変わったのは、多分誰もが気づいただろう。
莉愛ちゃんはそのまま泣き出した。
「莉愛ちゃん・・・っ」
私は泣いている莉愛ちゃんをぎゅっと抱きしめた。
そして、莉愛ちゃんを泣かせた張本人達を睨みつける。
「な、何なんだよ。これぐらいで泣くとか。おかしいんじゃねえの?」
「これぐらいって・・・無理やり誘った貴方達が悪いんじゃない!嫌だって言ってるのに!」
さっき莉愛ちゃんの手を握った彼らをたしなめた時の冷静さはどこかに行ってしまった。