私立桜恋学園~貴方は何科?~


「何、そんなガチでキレてんの?」

睨まれて私は思わず後ずさりする。
でも、莉愛ちゃんは離していなかった。

「そもそもさー、純愛科のくせに俺らに刃向かうとか、ありえないんですけど。」

「可愛いなーって思ったから、声かけてやったのに。もしかして調子乗ってる感じ?」

「そ、そんなつもりじゃ・・・」

次々と好き勝手言われて、私は悔しさでいっぱいになった。

(調子に乗ってなんかない・・・ただ、嫌だっただけなのに。それに、純愛科のくせにって何?純愛科は何か悪い所があるの?)

言い返したい事は沢山あるのに、恐怖と悔しさで言葉が出てこない。

「・・・何か言えよ。さっきまでうるさく騒いでたのに。」

肩を掴まれた。

「やっ・・・」

僅かに声が漏れた。

あの記憶が蘇る。

あの目、あの大きな手・・・









「・・・本当に馬鹿だな、お前ら。プロ恋愛科にいるからって調子に乗ってるのはお前らじゃねえの?」


聞き覚えのある声に顔を上げる。

そして、そこにいた人物に恐怖は驚きに変わる。


「大丈夫ー?優梨と莉愛ちゃん。」

東城零が教室の扉にもたれかかるように立っていた。
< 57 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop