私立桜恋学園~貴方は何科?~
東城零はそのまま教室に入ってきて、私の肩を掴んでいる手を乱暴に振り払った。
「何だよ、東城。お前には関係ないだろ。」
「いや、あるね。俺、こいつと知り合いだから。」
さらりと言う東城零だが、私は複雑な気分だった。
(なりたくて、知り合いになったわけじゃないんだけどね・・・)
「とにかく、さ。」
東城零はそこで言葉を切り、次の瞬間彼らを鋭く睨みつけた。
「誰がどう見ても、悪いのはお前らだろ。
プロ恋愛科にいるのがそんなに偉い事か?
言っとくけど、この学園は進学校だからな。当然偏差値も高い。純愛科のこのクラスにいる奴らは、大学進学希望組だから、お前らよりはるかに頭いいぞ。あ、そうそう。ちなみにお前らが声かけたこの2人は入試を1位で通った2人だぞ。同点で1位。」
周りがざわめく。
(何でこの人、こんな事知ってるの・・・それに、莉愛ちゃんと同率1位ってすごい偶然・・・)
「え、何で私が1位って知ってるの?ってか、優梨と同点!?すごい偶然!」
莉愛ちゃんがハンカチで涙を拭きながら、私と全く同じ感想を言う。
「恋愛に関しては、お前らの方が上かもしれないな。けど、忘れんなよ。ここ学校だからな?最優先は勉強だぞ?」
「・・・お前、マジでうざい。」
東城零は睨みつけられても全く動じず、むしろ笑っていた。
「さっきから頭悪そうな事ばっか言ってるな。自分達が惨めにならない?馬鹿丸出しにしてるよ?プロ恋愛科に入った俺ってかっこいい!とか思っちゃってる感じ?勘違いお疲れ様。嫌がってる女子を無理やり誘って、断られたら理不尽な悪口言う時点でかっこいいも何もねえよ。周りの奴らは馬鹿じゃないから、同じ事思ってるはずだぜ?お前らが一番うざい、ってな。」
「なっ・・・」
彼らは言い返そうとするが、上手く言葉が見つからないのかついには黙り込んでしまった。
そして、言い返せないかわりに東城零の胸ぐらを掴んだ。
「・・・何?ぶん殴るつもりか?」
彼は何も言わず、拳を振り上げる。
「ちょっと・・・っ!」
私が慌てて止めようとしたよりも早く、
誰かがその腕を掴んだ。