私立桜恋学園~貴方は何科?~
「・・・口論で勝てなくなったら、すぐに暴力振るう所が馬鹿な証拠なんだよ。」
「あ、佐久間くん・・・」
佐久間くんが腕を掴んだまま、彼を睨む。
彼は振り払おうとするが、佐久間くんの力が強いのかびくりともしない。
「何だよ、離せよ。」
「3人に謝れよ。そうしたら離す。」
「3人って・・・何であいつにまで謝る必要があるんだよ!?」
佐久間くんの3人という言葉が気に入らないのか、彼は東城零の方を見て言う。
「殴ろうとしただろ。」
「あいつが生意気な事言うから・・・」
「生意気じゃない。正論だろ。だから、言い返せなくなったんだろ?」
彼の言い訳も佐久間くんはバッサリ切り捨てていく。
「あー・・・俺は別にいいや。謝ってもらいたいとか思ってないし。」
東城零がそう言って、そのまま踵を返す。
「被害者は、優梨と莉愛ちゃんだし。じゃ、俺戻るわ。」
誰かが止める間もなく、東城零はさっさと教室から出ていった。
沈黙が流れる。
周りを見ると、私達を心配そうに見ている人がいるが、直接は何も言ってこない。
「あ、あの・・・佐久間くん、だったっけ?」
沈黙を破ったのは莉愛ちゃんだった。
佐久間くんの視線が莉愛ちゃんに向く。
「藤堂さん・・・だよね。どうかした?」
「何か結構大きな騒ぎになっちゃったから・・・もういい。謝ってもらわなくていい。
だから、その人離してあげてほしいなって・・・」
(莉愛ちゃんの言う通りだな・・・それに、この人達謝る気配もないし。このままだと無駄に騒ぎが続くだけだよね。)
「佐久間くん、私達もう大丈夫だから。」
私も佐久間くんにそう声をかける。
佐久間くんは少し考えた後
「2人がそう言うなら・・・」と呟いた。
そして、掴んでいた腕を離した。
男子生徒達はぶつぶつ何かを言いながらも、特に私達には何もせずに教室から出ていった。