私立桜恋学園~貴方は何科?~


「え、東城零?」

「うん。」

佐久間くんは頷いて、そのまま黙ってしまった。

(どう思うって・・・何でいきなりこんな事・・・)

聞かれたからには答えないといけないので、私はありのままを伝える事にした。

「ええと・・・あいつはね、初対面から私の事可愛いとか言い出したの。絶対からかってるよね。それにたくさんの女の子と付き合ってたみたいだし、軽い人って思った。」

(見事に悪口だよねこれ・・・)

自分で言っておいて少し後悔した。

でも、東城零がたくさんの女の子と付き合ったのも、私をからかったのも事実だ。
こんな事言われるような行動を彼はしたのだ。

「そっか・・・ごめん、いきなり聞いて。実は、さ。ちょっと言いにくいんだけど・・・」

「・・・何かあったの?」

「ああ・・・」

佐久間くんはかなり言いづらそうにしている。

「市川さんがこういう話苦手なら申し訳ないけど・・・」

「え・・・?」

佐久間くんは私の息が止まりそうになるような事を言った。


「昨日さ、大学の事調べようと思って、資料室に行ったんだ。入ろうしたら・・・中で、東城が女子とキスしてて。しかも、その女子は下着だけでー・・・って、市川さん大丈夫!?」

息が一瞬止まった。

(校内でキス!?しかも女子は下着だけ!?
え、え、ええええ!?)

大混乱を起こしていた。

そんな恐ろしい事をする人がいる事に、私は恐怖を感じた。

「うわ、マジでごめん!市川さんこういう話苦手?」

「苦手っていうか・・・怖いというか・・・私にとっては別世界だから・・・」

「・・・だから、市川さん。東城には気をつけて。声かけられたみたいだし、あいつ行動早そうだから、市川さんも・・・」

「・・・・・・っっ!!」

自分がそうなっている様子をちらりと想像してしまった。

(ありえない!ありえない!絶対、そんな事しないから!!もう、あいつには極力近づかない・・・!)
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