私立桜恋学園~貴方は何科?~
「ん・・・」
目に飛び込んできた白い天井。
微かな薬品の香り。
私は白いベッドに寝ていた。
(えーと・・・私、どうしたんだっけ・・・)
ぼんやりする頭で何とか思い返す。
『優梨、俺と付き合って?』
「・・・・・・!!」
思い出した。
いや、思い出さない方が良かったかもしれない。
あの言葉を聞いた瞬間、意識を失ったのだ。
(あいつ・・・一体、どういうつもり・・・?)
「あら、市川さん。良かった、目が覚めたのね。」
女の人の声が聞こえた。
(あ、この人・・・保健室の先生だ・・・)
「ここは保健室よ。市川さんは一年生だから、来るのは初めてね。倒れた、って男の子が運んできたけど・・・もう大丈夫?」
「すいません・・・お手数かけて。大丈夫です。」
私は先生にそう言って、壁にかけてある時計を見た。
もうとっくに授業が始まっている時間だった。
(ああ・・・やっちゃった・・・)
「・・・先生、私戻ります。」
そう言って、私はベッドから出ようとする。
すると先生は慌てた表情になる。
「ちょ、ちょっと待って、市川さん。倒れてるんだし、起きてすぐに授業はキツいわよ。せめて、今あってる授業が終わってから戻った方がいいわ。」
「大丈夫です・・・」
私はベッドから出て、歩き出す。
でも、視界が歪んで私は座り込んでしまった。
「ほら、やっぱり・・・もう少し寝ていたら?
この状態じゃまた倒れてしまう可能性もあるわ。」
「・・・分かりました。」
また倒れたら元も子もない。
授業が遅れるのは嫌だが、仕方ない。
私は再びベッドに潜り込んだ。