私立桜恋学園~貴方は何科?~


「ん・・・」

目に飛び込んできた白い天井。
微かな薬品の香り。

私は白いベッドに寝ていた。

(えーと・・・私、どうしたんだっけ・・・)

ぼんやりする頭で何とか思い返す。


『優梨、俺と付き合って?』


「・・・・・・!!」

思い出した。
いや、思い出さない方が良かったかもしれない。
あの言葉を聞いた瞬間、意識を失ったのだ。

(あいつ・・・一体、どういうつもり・・・?)


「あら、市川さん。良かった、目が覚めたのね。」

女の人の声が聞こえた。

(あ、この人・・・保健室の先生だ・・・)

「ここは保健室よ。市川さんは一年生だから、来るのは初めてね。倒れた、って男の子が運んできたけど・・・もう大丈夫?」

「すいません・・・お手数かけて。大丈夫です。」

私は先生にそう言って、壁にかけてある時計を見た。

もうとっくに授業が始まっている時間だった。

(ああ・・・やっちゃった・・・)

「・・・先生、私戻ります。」

そう言って、私はベッドから出ようとする。
すると先生は慌てた表情になる。

「ちょ、ちょっと待って、市川さん。倒れてるんだし、起きてすぐに授業はキツいわよ。せめて、今あってる授業が終わってから戻った方がいいわ。」

「大丈夫です・・・」

私はベッドから出て、歩き出す。
でも、視界が歪んで私は座り込んでしまった。

「ほら、やっぱり・・・もう少し寝ていたら?
この状態じゃまた倒れてしまう可能性もあるわ。」

「・・・分かりました。」


また倒れたら元も子もない。
授業が遅れるのは嫌だが、仕方ない。

私は再びベッドに潜り込んだ。
< 69 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop