私立桜恋学園~貴方は何科?~

授業の終わりを告げるチャイムの音が、私の意識を呼び覚ました。

(いつの間にか、寝てたみたい・・・)

体を起こして軽く伸びをする。
目覚めたばかりで、少しぼんやりしている。

しばらくの間そのまま宙を眺めていると、

ガラッと扉が開き、誰かが入ってくる気配がした。

ベッドのカーテンを開いて見ると、莉愛だった。
莉愛は私の姿を見つけると、駆け寄ってきた。

「優梨、大丈夫?倒れたって聞いて私、心配でー・・・」

「もう、大丈夫だよ。心配かけてごめんね。」

莉愛は近くにあった椅子をベッドの横に置き、座った。

「でも、突然倒れるなんて。体調でも悪かった?」

「えっと・・・」


言えるわけがない。
東城零にいきなり「付き合って」と言われて、ショックで倒れたなんて・・・

(そもそも、あいつが本気で言ったとは限らないのに。どうせ、からかってるだけだろうし。)


「優梨ー?どうかした?」

「・・・あっ、大丈夫。ちょっとぼーっとしてた。」

「・・・やっぱりまだ体調悪いんじゃない?」

「いやいや、もう大丈夫だからー・・・」


扉が開く音が聞こえ、私の声が遮られた。

莉愛が扉の方を見る。
そして口を開く。

「あ、東城君・・・だよね?」

「・・・っ!?」

(嘘、今までも会いたくなかったけど、今回はもっと会いたくない!)

そんな私の心の叫びなどお構いなく、カーテンからあいつが現れる。

「大丈夫?優梨。急に倒れるから驚いたよ。」

彼は悪びれる様子もなく、軽い笑みすら浮かべていた。

(一体、誰のせいで倒れたと思ってるの!?)






< 70 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop