私立桜恋学園~貴方は何科?~
授業の終わりを告げるチャイムの音が、私の意識を呼び覚ました。
(いつの間にか、寝てたみたい・・・)
体を起こして軽く伸びをする。
目覚めたばかりで、少しぼんやりしている。
しばらくの間そのまま宙を眺めていると、
ガラッと扉が開き、誰かが入ってくる気配がした。
ベッドのカーテンを開いて見ると、莉愛だった。
莉愛は私の姿を見つけると、駆け寄ってきた。
「優梨、大丈夫?倒れたって聞いて私、心配でー・・・」
「もう、大丈夫だよ。心配かけてごめんね。」
莉愛は近くにあった椅子をベッドの横に置き、座った。
「でも、突然倒れるなんて。体調でも悪かった?」
「えっと・・・」
言えるわけがない。
東城零にいきなり「付き合って」と言われて、ショックで倒れたなんて・・・
(そもそも、あいつが本気で言ったとは限らないのに。どうせ、からかってるだけだろうし。)
「優梨ー?どうかした?」
「・・・あっ、大丈夫。ちょっとぼーっとしてた。」
「・・・やっぱりまだ体調悪いんじゃない?」
「いやいや、もう大丈夫だからー・・・」
扉が開く音が聞こえ、私の声が遮られた。
莉愛が扉の方を見る。
そして口を開く。
「あ、東城君・・・だよね?」
「・・・っ!?」
(嘘、今までも会いたくなかったけど、今回はもっと会いたくない!)
そんな私の心の叫びなどお構いなく、カーテンからあいつが現れる。
「大丈夫?優梨。急に倒れるから驚いたよ。」
彼は悪びれる様子もなく、軽い笑みすら浮かべていた。
(一体、誰のせいで倒れたと思ってるの!?)