私立桜恋学園~貴方は何科?~
「はあ~・・・」
私はあからさまにため息をつく。
莉愛もいる前でこの態度はあまり良くないかもしれないが、今はそこまで気にしていられなかった。
「優梨、やっぱり体調悪そうだよ。次の授業も休んだら?酷いようなら早退とか考えてもいいと思うけど・・・」
莉愛が心配そうな顔で言う。
(何か、本当に気分悪いかも・・・)
体が重い。もしかして元からどこかが悪かったのだろうか。
「あら、市川さんのお見舞い?」
「あ、先生。」
保健室の先生が入ってきた。
先生は私の方に視線を向けた。
「市川さん、体調はどう?」
「微妙です・・・」
「そう・・・市川さん、次の授業も休んだ方がいいと思うわ。それか早退するか。完全に治しておかないと、後でまた体調を崩す可能性もあるし。」
(莉愛にも同じような事言われたな・・・)
テストもあるし、なるべく授業は休みたくない。
でも、いくら勉強しても体調が悪かったら元も子もない。
ここは先生の言う通りにした方が良さそうだ。
「・・・じゃあ、もう一時間だけここで休ませてもらっていいですか?早退するかは、その後で決めます。」
(もう一時間寝たら、治るかもしれないし。早退は出来れば避けたい・・・)
「分かったわ。次の授業は確か・・・恋愛の授業ね。市川さんのクラスは・・・美川先生が担当よね。藤堂さん、あなた市川さんと同じクラスだったわよね?」
「はい。」
「美川先生に、市川さんは休むって伝えておいてくれる?」
「分かりました。」
莉愛が答えた時、次の授業の予鈴が鳴った。
「さて、そろそろ行かなきゃ。優梨、ゆっくり休んでね?」
莉愛が椅子から立ち上がって言う。
「うん、ありがとう。」
そして、莉愛の隣にいた東城零も踵を返した。
と思ったら、くるりと振り返った。
そのまま私に近づき、私だけに聞こえるように耳元で囁く。
「優梨、俺のせいでごめんね?後でちゃんと話すから・・・」
「・・・・・・・・・」
私は何も返さなかった。
彼は今度こそ保健室から出て行った。