私立桜恋学園~貴方は何科?~
【優梨side】
「ええ!?恋愛科の試験に合格したいから私と付き合う!?あいつ、本当にそう言ったの?」
私が倒れた次の日の朝。
私は教室で、莉愛から衝撃的な話を聞かされていた。
どうやら東城零から頼まれたみたいだ。
「うん。プロ恋愛科の試験内容は、誰かと付き合う事だからね。」
莉愛は頷いた。
いきなりあんな事を言ってきた事情は分かったが、納得いくわけがなかった。
「だいたい、何で私なの?女の子なんていくらでもいるじゃない。私みたいな恋愛初心者と付き合っても、絶対楽しくないよ。」
「うーん・・・私も分からない。あの人、モテそうだし、候補ならいっぱいいると思うんだけどなあ・・・」
私も莉愛もすっかり困り果てていた。
「それにしても・・・」
莉愛が髪をいじりながら、ポツリと呟く。
「いきなり、誰かと付き合えだなんて。プロ恋愛科はやっぱりすごいね。私なんて、絶対無理だよ。」
私も全くの同意見だった。
そもそも恋愛自体関わりがなかったのだ。
付き合うなんていう話は、もはや別世界の話だった。
「・・・付き合いたい、なんて初めて言われたよ・・・」
私はため息をついて、机に突っ伏した。
「東城くん、決まったら返事してって言ってたよ。」
「うーん・・・」
この時、私と莉愛は気づいていなかった。
佐久間くんがこの話を聞いていた事に。