私立桜恋学園~貴方は何科?~


「優梨・・・?いったい、どうしたんだ?」

東城零の戸惑いを含んだ声が頭上で聞こえる。

でも、私は離れる事が出来なかった。
彼の胸に顔を埋めたまま、頭痛と恐怖にただ耐えていた。

(私、何やってるんだろう・・・馬鹿だ・・・でも・・・)

それでも離れられない。
本来ならすぐに離れて、彼に謝るべきなのに。それが出来ない。

「怖い・・・怖いの・・・助けて・・・助けて・・・」

同じような言葉を繰り返す事しか出来なかった。


「・・・優梨。」

彼の声が耳元で聞こえた。




彼の腕が伸びてきて、私の体を包み込んだ。

「・・・!」

思わずびくりと体が震える。
でも、抵抗する気は起きなかった。


「大丈夫、俺がいるから・・・」

耳元での囁きは、今までの彼からは想像出来ないほど、甘く優しかった。


「ごめん・・・なさい・・・」

私はそっと呟く。
勝手に彼を混乱させているのが、すごく申しわけなくなった。

「別に・・・俺は大丈夫だよ。だから、我慢しないで、優梨・・・」

耳元で響く彼の声を、私はぼんやりと聞いていた。

私は彼の背中に腕を回す。


(何で・・・何で急に優しくするの・・・?)


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