ねぇ、私と付き合って。




私は大手食品メーカー本社ビルの受付の仕事をするようになっていた。


ある日職場仲間に誘われて、合コンに行った。
製薬会社の有能な男たちを集めた、と彼女は言っていた。

そのメンバーの中に、彼はいた。



「優菜、久しぶり。」

久々に見る薫の顔は、少し疲れてやつれていた。

合コンが終わった後、2人で飲み直すことになった席で薫は昔の話をした。


高1のとき少し難しい病気にかかり、手術も含め1年間入院していたこと。
命を繋げることはできたものの、体は少しずつ病に蝕まれていったこと。
自分のように苦しんでいる人を助けたくて今の仕事に就いたこと。
よりたくさんの知識を身につけるためT大に入りたかったので、高2の終わり、都会の進学校に転入したこと(私たちの学校の校長がそこの校長と知り合いで、薫の実力を知って推しまくったため特例で編入試験が受けられたらしい)。
悩む期間が長かったためその学校では1年間しか学べなかったが、なんとか志望校に合格し、
理想の職業に就けたこと。

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