ねぇ、私と付き合って。




そしてその夜から私たちは、“セフレ”になった。


私は薫が好きだった。
どうしても忘れられなかった。
でもあの夜薫の口から出たのは、
「セフレにならないか」
という言葉だった。

元気がない…というか生気を失ったようなその日の薫は、どこかに吹き飛ばされてしまいそうで。

私は必死に彼を抱き締めた。
彼も同じだった。
小さく震えているのに、びっくりするくらいの力で私を抱きしめた。

私は薫にばれないように涙をこぼした。
きっとそう遠くない未来に、永遠の別れがくるのだと予感しながら。

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