王太子殿下の妃になりました
スタスタと歩いていくシオンの首にしがみつき、これから何が起きていいように心の準備をした。

「あの、シオン王太子殿下。何故、私をこのような場所に?」

シオンはチラリとジュリアに目をやるとポンポンと背中をあやすように叩く。
後ろからついて来ている執事もまた、優しい目でジュリアに微笑んだ。

「さぁ、目的の場所についた。ジュリアはここで何も言わずにじっと待っていてくれるかい?」

そういうとシオンは豪華な扉をジュリアを抱いたまま上げると中に入り、ソファに座らせると執事と共に出て行ってしまった。

コンコン

ジュリアは不安に思いながらもじっとシオンのことを待つ。
すると扉がノックされ、入って来たのは執事だった。
手にはトレーが持っていて、ティーセットが乗せられていた。

「クロイツ様、アールグレイでございます。どうか、お飲み下さいませ」

そういうと、ティーカップに紅茶を注いで音もなくジュリアの前に置くと、ジュリアの斜め右後ろに立ってしまう。

「ここは、シオン様のお部屋でございますから、先ほどのような事はありませんよ。安心なさって下さいませ。」

そう言われても王城と王太子の前にして安心できないでいた。ジュリアは腕にはめていたブレスレットを握る。

するとシオンが部屋に戻ってきた。
ジュリアに微笑んだ後、執事に目をやるとシオンの視線に気づいた執事は首を振った。

「あぁ、ジュリアいい子に待ってくれてありがとう。でも、だめだよ?紅茶を飲まなきゃ後ろの彼が不安そうにしているよ」

ジュリアはそう言われ、勇気を出して、ティーカップにてをかけた。
プルプルと不安で震えているジュリアの手を支えるように、いつの間にか横に座ったシオンが後ろからささえた。
ジュリアは支えられながらも二口飲み、ソーサラーにティーカップを戻した。
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