王太子殿下の妃になりました
「さぁ、ジュリア。準備が整ったね。父上と母上に会いにいこう。足はまだ痛むだろうから僕が抱っこしてあげよう」
シオンは軽々とジュリアを持ち上げるとジュリアの手を掴み首に手を巻きつけるように促した。
「あの……殿下。申し訳ないです。早く治しますね」
「殿下と呼ばないで下さい。私はシオンです。貴方にはシオンと呼んでほしい」
片手でジュリアの体を支えて、空いている手で頬を撫ぜ、キスを落として行く。
驚いた顔をするジュリアに微笑むと歩き出した。
ジュリアの重みなど感じていないようにいつも通りの速さで歩き、国王と王妃が待つ部屋に向かった。
一つの扉の前に止まると、ジュリアを下ろし、腕にジュリアの腕を絡ませた。
「さぁ、着いたよ。ここの部屋は国王が臣下や配下に命を下す際に姿を見せる場所。執務室は別の場所にある」
それだけ言うと扉を開けるように扉の隣に居た、兵に告げた。
キィー……
少し錆び付いた音と共に開いた、扉から光が差し込め、開ききった扉から豪華な内装が見えた。