きみの幸せを願ってる
赤いランプがフッと消えると、辺りが一瞬暗くなった気がした。
それだけこの灯りは存在感が大きかったのだろうか?
余計なことを考えていると、中から医者が出てきた。
思わず、俺もきみのお兄さんとお母さんも立ち上がる。
「手術は無事に終わりました。腫瘍は完全に取り除きましたから、安心してください」
「ありがとうございます」
きみのお母さんが頭を下げた。
「凛の、妹の、記憶は……」
お兄さんが呟く。
「まだ麻酔が切れていないので、それはまだわかりません」
きみはしばらく、ICUに入れられることになった。
そこは家族か、家族が許可した人しか入れない。
きみのお母さんは、きみを支えてくれたのは、間違いなく俺だと特別にその部屋に入れてくれた。
しばらくして、麻酔が切れたきみと対面した。
きみは何を忘れ、何を覚えているか、わからない。
動悸を何とか鎮めて、きみのそばに行った。