きみの幸せを願ってる
洸太さんは男の俺から見ても、素敵な魅力を持つひとだった。
顔は整っているし、屈託ない笑顔は人に警戒心を持たせない。
しかし笑顔と反対に、その身体全身から放つオーラは男らしさで溢れている。
大人っぽさと子どもらしさ。
どちらも合わせ持つ、素晴らしい人物だ。
きみが惚れたのも分からなくもない。
「洸太くんはどうしてここに?」
おばさんが質問。
そりゃそうだ。
再会したのが、病院だ。
ここに来た理由を知りたいと思うのが当然だ。
「友人が骨折して入院したんです。そのお見舞い。おばさんこそ、どうしてここに?」
かつての幼馴染みに、言うべきか。言わないべきか。
おばさんはちょっと迷ったかのように、うつむいたが、やがて意を決したように顔を上げた。
「凛がね。ちょっと入院してるのよ」
洸太さんは、目を見開いた。
「凛が……!?なんで??」
「この間、脳に腫瘍が見つかってね。良性だったけど、念のため入院してるよ」
「……腫瘍」
洸太さんは呆然と呟いた。
驚きを隠しきれない様子に、こちらも驚いたりしない。
凛の病気を知った友人や先生方も、同じ顔をしていたから。
「……凛に会わせてもらえませんか?」