きみの幸せを願ってる
こうやってきみの表情をクルクルさせて、きみを翻弄させているようで、だけど、最後に翻弄されるのは、いつも俺のほうだ。
交わりの最後はいつも、俺の余裕は無くなる。
「……り、ん」
吐き捨てるように、名前を呼ぶと、俺の身体は小さく痙攣した。
きみと身体を重ねたのは、初めてじゃない。
もう何度も求めあったけれど、それでもやっぱり、きみがほしくなる。
そんな風に言うと、俺はただ、快感だけを求めてきみを抱いているように、聞こえるかもしれないけれど、俺にとっては、きみが全身から放つ幸せの香りが一番必要だった。
ほら、今も。
「……輝」
「気持ちよかった?」
「う、ん……」
満たされたような、まだまだ足りないと言うような、どちらにも似つかぬ表情のきみは、俺に抱きつく腕を離そうとしない。
きみの幸せそうな表情に、俺の心は満たされる。
その表情は、もう俺にとっては、なくてはならないものだ。
酸素みたいだね、きみは。
そばにいないと、息苦しい。
「そろそろ、離して。凛」
「や、だ……」
「お願い。避妊失敗すると、大変だから」
現実的な話をすると、きみはいつも不服そうに、腕を離す。
その隙に、俺は自分の身体にムチを打って、きみから身体を離すのだ。
本当はきみと気持ちはいっしょ。
離れたくない。いつまでも繋がっていたい。
だけど、ちゃんとしないと。
好きな人を、結婚前に妊娠などさせたくないから。
「……輝」
「なに?もっとほしいの?」
応えるかのように、きみの唇が俺に重ねられた。
それだけなのに、身体が反応する。
翻弄されられているのは、やっぱり俺だ。