バーフライズ・ストンプ
茶封筒から原稿を取り出そうとしたら、
「元気がないね」

センセイが言った。

「えっ?」

顔をあげてセンセイを見たわたしに、センセイは悲しそうにキレイに整えられた眉を下げた。

「恋人のことかい?」

センセイの桜色の唇が動いたと思ったら、音を発した。

目をそらすようにうつむいたわたしに、
「そうだろうと思っていたよ…」

センセイが言った。

コンコンと、ドアをたたく音が聞こえた。

「入っていいよ」

そう言って声をかけたセンセイに、
「お邪魔しまーす♪」

ドアが開いたのと同時に、お盆を持ったいちごちゃんが入ってきた。

お盆のうえにはグラスに入った麦茶があった。
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