バーフライズ・ストンプ
「別れたいとは思っているんです。

でも別れを切り出そうとすると、逃げられちゃって…」

そう言ったわたしに、センセイはやれやれと息を吐いた。

「逃げられる、ねえ…」

センセイは呟くように言った後、わたしに向かって手を伸ばした。

センセイの華奢な手がわたしの頬に触れる。

センセイの美しい顔がわたしに近づいてくる。

センセイの躰から漂っている甘い香りが強くなる。

「――センセイ…?」

呟くようにセンセイの名前を呼んだら、
「いっそのこと、二股をして見ると言うのはどうだい?」

センセイが言った。

「えっ…?」

そう言ったセンセイに、わたしは驚いて聞き返した。
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