バーフライズ・ストンプ
「君は“彼氏”はいるけど、“彼女”はいないんだろ?

二股をかけられても文句は言えまい」

センセイはそう言った後、笑った。

妖しい色気が漂うその微笑みに、わたしの心臓がドキッ…と鳴った。

「センセイ…」

呟くようにセンセイの名前を呼んだわたしに、
「紅葉…」

センセイがわたしの名前を呼んだ。

黒いビー玉のようなセンセイの瞳が近づいてきたかと思ったら、
「――ッ…」

センセイの唇とわたしの唇が重なった。

後頭部にセンセイの手が添えられたかと思ったら、そっと大切なものを扱うようにセンセイがわたしを優しく押し倒した。
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