バーフライズ・ストンプ
「どうして声を隠す必要があるんだい?」

センセイがわたしを見つめてきた。

「――いちごちゃんに、聞こえちゃうから…」

呟くように言ったわたしに、
「へえ、ここで私以外の名前を出すんだ。

君は悪い人だね」

センセイは妖しく微笑んだ後、
「――ッ…」

またわたしの胸に唇をつけた。

いちごちゃんは、センセイの姪っ子ちゃんじゃないですか…。

そう言い返したくても、センセイの唇が邪魔をした。

「――セン、セイ…」

呟くようにセンセイの名前を呼んで、センセイの黒い髪に手を伸ばした。
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