バーフライズ・ストンプ
「まあ、無理にとは言わない」

そう言ったのと同時に、センセイの指が唇から離れた。

「君が答えを言うまで、私は待ってる。

返事はいつでも構わないから」

センセイがわたしの躰から離れた。

「えっ、あの…」

「もう時間だよ。

早く原稿を届けないと、怒られてしまうよ」

わたしは躰を起こした。

「それと身なりの方もちゃんと整えてから、出版社へと向かうんだよ」

そう言ったセンセイに、わたしはシャツのボタンを外されていたことを思い出した。

胸にはセンセイがつけた痕跡がたくさんあった。
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