バーフライズ・ストンプ
そう考えていたわたしに、
「あれ?」

彼が何かに気づいた。

「お前、香水つけてたっけ?」

不思議そうに聞いてきた彼に、
「えっ、何で?」

わたしは聞き返した。

「何か、お前から甘い匂いがするから…。

香水でもつけてたかなって思って」

「えっ、臭う?」

自分の服に鼻を近づけて、クンクンと鼻を動かした。

自分からは特に何も感じなかったけど、センセイの香りが服についたんだと言うことだけはわかった。

「嫌な匂いじゃないからいいよ」

そう言った後、彼は部屋のドアを開けた。

よかった、追及されなかった。

バタンと音を立てて閉じられたドアに、わたしはホッと胸をなで下ろした。
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