バーフライズ・ストンプ
「津川さ…」

わたしは自分から手を伸ばして、センセイの手を握った。

突然のことに、センセイが驚いた顔をする。

「――センセイ…」

呟くようにセンセイを呼んだ後、自分の顔をセンセイの顔に近づけた。

センセイとの顔の距離が近づけば近づくほど、花のような甘い香りが近くなる。

いつも漂っているこの香りは、センセイの躰から出てくる香りだったのか。

「――ッ…」

そう思ったのと同時に、わたしの唇とセンセイの唇が重なった。

――センセイと、キスをしてしまった…。

ゆっくりと唇を離すと、センセイはわたしを見つめていた。

「――あっ…」

わたし…今、センセイに何てことを…。

そんなことを思っても、時すでに遅しだ。
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