最強甘々計画
計画その三 ○○で甘味に親しみを持とう
視線の先には、自分の部屋の白い天井がある。
「はあ……」
寝起きに溜め息が出る。もう二度と会うことはないだろうし、会うつもりもない人物が夢に出たからだ。
二年前に別れた元カレが夢に出た。人の悪口も仕事の愚痴も一切溢さない元カレだったけれど、彼は茄子にだけは異様に嫌悪を抱いていた。
――あの、ぶよぶよした感じが無理。本当無理。
茄子が目の前にあると、執拗に苦虫を噛み潰したような顔で悪口を言う。
反対に私は、茄子が好物だった。
アレルギーの可能性もあるし、食べられないものがあるのは仕方がない。私だって甘いものが食べられないし、お酒も飲めない。
しかし茄子が好きで食べている私の前で、いつまでも愚痴を溢すというのはどうなのだろう。私は自分の恋人が好きなものに対しては、例え私自身がそれを好きではなく理解できない場合でも、まずは相手の好みを尊重したいという考えでいる。
理由はそれだけではないけれど、私はその彼とは別れを決意した。そのことに後悔はない。そのまま交際を続けていたとしても、いずれは考えの違いに思い悩んでいただろうから。
付き合ってる人とは楽しく食事をしたいものだ。だって、そのまま結婚をしたら、食事の時間にほぼ顔を付き合わせることになるから。
食卓は笑顔が溢れる風景であって欲しい。
――美味しいー。
塩河さんみたいに、よく笑ってくれる人がいいんだ。
私、塩河さんに惹かれているのかな。