最強甘々計画
中から次々と、どら焼きや大福を取り出した。
「この中だったら、最中はそんなに甘くない方かな」
「では、それをいただきますね」
私は塩河さんがすすめてくれた小さな最中を、一口噛んだ。甘いものを口に入れた際に起こるあのきつい違和感は、今は不思議と起こらない。
「あ、美味しい。これだったら私にも――」
私は初めて食べた和菓子を順調に噛み、味わう。残り半分の最中も、二口目で平らげた。
「本当? よかった」
最中の皮のぱさつきによって、口の中の水分を一気に奪われる。私はその渇きを取るため、ペットボトルのお茶を飲んだ。餡を味わった後の緑茶は、すごく合った。和菓子とお茶の組み合わせって、いいな。
「おっ、これもなかなかいける」
塩河さんはどら焼きを食べている。幸せそうな顔をして頬張っているその姿は、どら焼きが好物な某猫型ロボットを彷彿とさせた。
「塩河さんっていつもよく食べてるのに、痩せてますよね」
私は華奢な体型をしている塩河さんを、まじまじと見つめる。
「そういう体質なのか、いくら食べても太らないんだ。十代の頃はそのことを気にしてたけどね。大人になってからは、それも自分の個性だと思うようにしてる」
「そうですよ、悪く思う部分なんて、一つもないです。女の私としては、すごく羨ましいです」
「ままれちゃん、全然太ってないじゃん」
「……あれ? もしかして北東?」
会話を続ける私と塩河さんの前に、スーツを着た一人の男性が立ち止まった。