最強甘々計画

計画その六 お菓子を食べなきゃいたずらするぞ!?



 私は一人っ子で育った。そして父が仕事の関係で単身赴任になることがよくあったため、母と二人で家にいることが多かった。


 甘いものに目がない母は、リビングでくつろぐ時は決まってお菓子を口にしながら、テレビ番組を観ていた。


 でも、私の誕生日の日には毎年、母は絶対に甘いものを食べなかった。甘いものが苦手な私に気遣って、一緒に煎餅を齧ってくれる。


 私が甘いものを克服したいのは、何より母のため。私の誕生日に二人でケーキを食べれば、母子の間に生まれる今までにない思い出に、甘党な母も喜ぶに違いない。


 だからこの計画は成功させなきゃ、だめなんだ。それに、ずっとそばで親身になって協力してくれてる、塩河さんのためにも……。


「んー……」


 私は手の甲で、閉じた瞼を擦る。どうやら夢の中で、これまでの決意を思い返していたようだ。


 体を起こし、両手を挙げて背筋を伸ばす。


「えっ!?」


 目が冴えた私は、はっとする。自分が今いるベッドも、部屋の間取りも、現在住んでる賃貸マンションのものでは明らかにないからだ。


 服装は、昨日の仕事着のままである。


 昨日の夜は、塩河さんの部屋で一緒にお菓子作りをした。その後満腹からソファに横になって――その後の記憶は、どういう訳かさっぱりない。


 もしかして私、昨日の夜、塩河さんと――!?
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